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デジタル映像産業誘致は二子玉川ライズの尻拭いか [林田力hayariki]

東京都世田谷区は2010年4月27日に「デジタル映像コンテンツ産業誘致集積支援事業」の推進事業体の公募を発表した。夢のある事業であるが、二子玉川東地区再開発事業(街の名称:二子玉川ライズ)の尻拭いに悪用される懸念がある。

世田谷区にはデジタル映像コンテンツ関連の中小企業を二子玉川地区周辺に集積させる構想がある(「デジタル映像コンテンツ産業」クラスター構想)。これを民間主導で進めるために推進事業体を民間から公募する。公募期間は5月12日から5月26日までである。

アニメなど日本の映像コンテンツは世界的な評価が高く、デジタル映像コンテンツ産業の誘致は夢がある政策である。また、古くから映像関連企業が存在する世田谷区がデジタル映像コンテンツ産業の誘致を目指すことには一定の合理性がある。

しかし、企業の誘致先を二子玉川地区とする理由はない。世田谷区で有名な映像関連の事業所には東宝スタジオ(成城)、円谷プロ(八幡山)、東京メディアシティ(砧)があるが、いずれも二子玉川から離れている。

距離的に離れているだけでなく、電車で移動する場合も不便である。世田谷区の南端に位置する二子玉川から世田谷区北部に直接アクセスする路線はない。そのため、二子玉川から鉄道で成城や八幡山、砧に行く場合は大回りを強いられることになる。

国道246号線沿い(ほぼ東急田園都市線に重なる)にはインターネット、映像制作関連の中小企業等が増加しているが、渋谷へのアクセスが大きな理由である。区内の国道246号線沿いで渋谷から最も離れた二子玉川に誘致する合理性はない。

二子玉川再開発ではオフィス棟として「二子玉川ライズ オフィス」(地上16階、地下2階)が2010年11月末に竣工する予定である。また、東京都が審査中の二子玉川東第二地区再開発事業も建設する超高層ビルの大半が事務所になる計画である。

二子玉川は風致地区であり、これまで大規模なオフィスビルは存在しなかった。そのために再開発で建設されるオフィスビルを埋めるだけのオフィス需要があるかが問題になる。現実に事業計画への意見書・口頭意見陳述でも再開発の事業採算性への疑問が提示されている(林田力「二子玉川再開発への反対意見が情報公開で判明(上)」PJニュース2010年4月28日)。

大きな建物を建てたものの、テナントが埋まらず、行き詰った再開発事業は全国各地に存在する。本来ならば破綻している再開発事業の採算を見かけ上は成り立たせる姑息な手段に、再開発ビルへの公共施設の入居がある(NPO法人区画整理・再開発対策全国会議『区画整理・再開発の破綻』自治体研究社、2001年、98頁)。これは結局のところ、税金による再開発事業の尻拭いである。

地方公共団体の財政状況が逼迫している現在、再開発事業を救済するために高い賃料を払って公共施設を入居させる露骨な再開発事業救済策は困難になっている。その点で補助金を出しての民間企業誘致は、より巧妙である。デジタル映像コンテンツ産業誘致集積支援事業が二子玉川再開発の尻拭いに悪用されないか、世田谷区民は注目する必要がある。



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