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佼成病院裁判控訴審第1回口頭弁論

kosei_appeal.png立正佼成会附属佼成病院裁判控訴審(平成28年(ネ)第5668号)第1回口頭弁論が2017年3月13日(月)、東京都千代田区の東京高等裁判所424号法廷で開かれた。

佼成病院裁判は、患者本人の承諾がなく、患者の長男の要請だけで患者を死に追いやったとして、患者の長女が起こした訴訟である。佼成病院の経営主体の立正佼成会と患者の長男夫婦を提訴した。控訴審は第22民事部(河野清孝裁判長、古谷恭一郎裁判官、小林康彦裁判官)に係属している。

口頭弁論は午前10時開始予定であったが、予定時刻を過ぎても裁判官らは現れず、約15分遅れて始まった。珍しい話である。長女は控訴理由書を陳述した。立正佼成会と長男夫婦側は控訴答弁書を陳述した。長女側は証拠として長女の陳述書(甲C5号証)と医師の意見書(甲B15号証)を提出した。さらに次女の証人尋問と医師の書面尋問を申請した。

控訴理由書は以下のように指摘する。佼成病院においては「経鼻経管栄養の実施に際し、何らかの原因により、当該患者にとって不適切な速度で栄養剤が注入されてしまうといった「意外な」事態に備えた対策が、何ら講じられていなかった」(11頁)

「8月20日に長男が「延命につながる治療を全て拒否」した時点で、佼成病院は、そのリスクを説明した上で他の家族もそれに同意しているのかを確認すべきであったが、佼成病院はこれらを行わなかった」(31頁)

長女の代理人は以下のように主張した。病院の管理が杜撰であった。病院の注意義務には意外な結果を起こさなくすることも含まれる。意外な結果を起こさなくする義務がある。

長男は母親の経鼻経管栄養の滴下速度を速め、その2時間後に母親は嘔吐した。母親は栄養剤を嘔吐している。これは胃の中に残っていたから嘔吐した。つまり経管栄養の速度が速すぎて栄養剤を消化しきれなかった。ここから長男が経管栄養の滴下速度を速めたことと母親の嘔吐の間に因果関係があると判断できる。

佼成病院は患者の病状が変わった、それぞれの局面で家族を集めて説明するという一般的なことができていない。

裁判所は長女側に期待権の侵害について控訴審でも主張するか整理することを求めた。また、「生存していた相当程度の可能性」は因果関係論ではなく、法益侵害として議論される問題であり、その観点からの主張整理を求めた。控訴理由書の補充書を提出することを求めた。

この「相当程度の可能性」は最高裁平成12年9月22日判決の以下の指摘である。「疾病のため死亡した患者の診療に当たった医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害を賠償する責任を負うものと解するのが相当である」

医療過誤訴訟では因果関係の立証はハードルが高く、病院の過失があっても因果関係がないとして不法行為責任が否定されるケースが多い。「相当程度の可能性」を法益とすることで、医師に過失が認められる以上、賠償責任を認めることができる。一方で裁判所が因果関係の判断が微妙な事案で因果関係の判断を避け、安易に「相当程度の可能性」を持ち出すことは、賠償金額や和解金額の水準低下をもたらしているとの批判がある。

また、裁判所は立正佼成会と長男夫婦側には長女の証拠申請への意見を文書で出すことを求めた。加えて互いの主張を援用するか、独立したものとするか整理することを求めた。立正佼成会と長男夫婦側は、長女側の補充書を見て検討の上書面を出す。

次回期日は2007年5月31日(水)10時から東京高等裁判所424号法廷で開かれる。これから高齢化社会に向けて最期の時をどう迎えるか一人一人の課題である。医療の主体は患者であることを問う裁判である。
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